1930〜40年代のシャンソン・フランセーズの名曲を収めた、パトリック・ブリュエルのアルバム《Entre-deux》「アントゥル=ドゥー」がフランスで相変わらず好評だ。
それを受けて、そのオリジナル曲を集めたコンピレーション・アルバムが出されている。それがこれだ。
商魂たくましいとも言えるけれど、これでしか聴けないような曲も多いので、オリジナル録音版を探す手間が省ける。
こちらも「サン=ジャンの私の恋人」がやはりトップに置かれている。
さらにリュシエンヌ・ドリールとジャーヌ・シャカンのヴァージョンを揃えるなど、細かい工夫が見受けられる。
ダミアの「ナイト・アンド・デイ」と「落ちぶれて」も珍しい部類に入るだろう。
レイ・ヴァンテュラ、ベルト・シルヴァ、ジャン・リュミエールあたりがそれに続くと言えそうだ。
これといったポリシーもなく雑然と集められた、とい感じを受けるかもしれない。過去の優れた曲を蘇らせてやるぞ、といった強い意気込みが参加したアーティストたちにあるせいだろうか、パトリック盤の方がテンションが高いような印象を受ける。
それはともかく、レトロな気分のこうしたオリジナル曲は暑さ疲れた心に効くかもしれない。