年の瀬。程度の差はあっても、誰もが時の流れの速さを感じているのではないだろうか。目先の事柄に追われているうちに日々は過ぎ、この1年も暮れようとしていることに気づく。長く続いて悩まされたあの猛暑の夏も遥か遠く感じられる。
少しは自分という人間は成長しているんだろうか。時々、そんな問を自らに投げかけてみる。自信を持って答えることはできないけれど、まぁ、努力だけは続けているよなぁ、と呟くのが精一杯のところ。怠惰に陥りやすい性格ではあっても、自分を磨くという努力、こいつを忘れてはなるまいとは思っている。
印象深い写真に出会った。今年のパリ・マッチ誌11月11日〜17日号の表紙を飾っている写真だ。イヴ・モンタンの愛妻キャロルさんと息子ヴァランタンのポートレート。ヴァランタンはこの年末に16歳になる。そうか、モンタンが逝ってもう13年が経つのか。彼が亡くなった当時にパリ・マッチ誌(1991年11月28日号)に出たおちびちゃんの頃のヴァランタンと比べてみると、流れ去った時の長さが分ろうというものだ。
■Paris Match 1991年11月28日号
■Paris Match 2004年11月11日〜17日号
11月9日はイヴ・モンタンの命日。この日、ペール・ラシェーズ墓地内のモンタンの墓石の前に友人知己が集まった、と記事にある。アラン・ドロン、ミッシェル・ドリュケール、ホルヘ・センプルン、イヴ・シモン、ジャン=ルー・ダバディーと妻ヴェロニク、リーヌ・ルノーといった仲間たちが赤いバラを捧げる写真もある。「ほらイヴ、私たちはここにいる。きみを忘れてはいないよ」と始まる、コスタ・ガヴラスとホルヘ・センプルンによるオマージュの言葉も掲載された。「枯葉」の一節を想い起こさせる言葉だ。
記事によると、ヴァランタンはリセに通い、仲間、音楽、ビデオゲームを愛し、携帯電話を離さない、普通の男の子として育っているという。亡き父親に似て背が高い。清々しさと逞しさを兼ね備えている感じがして、将来が楽しみだ。
まだ幼い愛息を残してこの世を去らなければならなかったイヴ・モンタンの気持ちはいかばかりだったろうか。彼は「ヴァランタン」というシャンソンを歌っている。1992年春、ベルシーのステージで披露する予定だった。歌詞を書いたのはジャン=ルー・ダバディー。「私が痛みを感じた所でお前も痛みを感じるだろう」「お前は夜明けだヴァランタン、私は黄昏だ、愛する者よ」といった言葉に、父親としての思いがよく表わされている。モンタンの気持ちはまさにこのとおりだったと想像される。
あれから13年…。あの時、キャロルさんにとって守るべき対象だったヴァランタン。いまは母親を守ることができそうなほどに成長している。そんな息子をモンタンは目を細めて見ていることだろう。
さて、もう一度わが身を振り返ってみる。ヴァランタンと比べて、僕はいったいどのくらい成長しているんだろうか。答は年内に出そうにないなぁ…。
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