いま、ポエジーのある歌が聴きたい!
大野修平著 『わが心のシャンソン 〜 そして詩人の魂をめぐって』

平凡社刊 定価:1575円[税込]全国の書店で好評発売中。

大野修平が出会った歌手とシャンソンたち。原詞と対訳を掲げてその魅力を探る。
〈収録アーティスト〉シャルル・トレネ/イヴ・モンタン/フランシス・ルマルク/レオ・フェレ/コラ・ヴォケール/セルジュ・ゲンズブール/ジャンヌ・モロー/ジャック・ブレル/ジョルジュ・ブラッサンス/ピエール・バルー/ジュリエット・グレコ/ジョルジュ・ムスタキ/ジルベール・ベコー/エディット・ピアフ/シャルル・アズナヴール そして21世紀のシャンソン歌手たち。


大野修平、最新の書き下ろしが刊行されました。
どうぞ書店でお手に取ってご覧下さい。

『哀愁と歓びのシャンソンの名曲20選〔CD付〕』
(中経出版)¥1,800

シャンソン関連のコラム、シャンソンゆかりの場所を示した
パリのイラスト地図も入ってます。
よろしかったらご感想やご意見をメールなどでお寄せ下さい。

◇ お 知 ら せ ◇
 大野修平が講師を担当する「シャンソン de フランス語」が始まりました。インターネットでフランス語のレッスンができます。ご利用には料金がかかりませんのでお気軽にどうぞ。
動画レッスンURL:http://www.unself.jp/
トップページから「語学」の項目をクリックしてお入り下さい。
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何かが足りない  4月11日(金)晴れ

  

 9日に行なわれた、福田康男首相と小沢一郎民主党代表の党首会談の様子をニュースで見た。
 福田首相、珍しく小沢代表に噛みつくような姿勢を見せたのが意外だった。小沢氏の質問に答える前に逆質問したのもちょっとした驚きだ。
 かと思うと、野党が国会論議に乗ってこないことについて「困ってるんですから」といった、いささか感情的な一面も見せた。論戦の場なのに泣きが入るっていうのは、どうもねぇ…。

 小沢氏は最後に、「チベットでの人権抑圧や各国の北京オリンピックへの抗議行動をどう思うか」と質問した。
 福田首相の答はここでも単なる感想に留まっていた。「せっかくのオリンピックを前に残念だ。平和的に話し合いで解決してほしい」云々。

 そりゃ、誰だって残念に思っているに違いないだろう。
 小沢氏も僕たち国民も福田サンの口から聞きたいのは、そんな民主主義国家日本のリーダーとしてどう考え、どう行動するかといった明確なメッセージなのに。

 中国がおいそれとチベットと平和的な話し合いに応じると本気で思ってるんだろうか。
 福田サンのこの答弁、とりあえずそう言っておけば、その場は何とか取り繕うことができるという程度ものにしか受け取れない。
 じゃ、その話し合いをスタートさせるために日本は中国にこう働きかける、といった積極的な考えがなぜ出てこないんだろうか。所詮、対岸の火事と思ってるのかもしれない。

 「自分は日本の首相として、またひとりの人間としてこの問題をこう受け止め、こう考える。したがって、中国に対してこういう態度表明をする。さらに、北京オリンピックにはこういう姿勢で臨む」と言えないのはどうしてなんだろうか。個人的見解で構わない、国としての決断には国会での議論も必要になるだろうから。

 福田内閣の支持率は低下の一途をたどっている。何かが足りない、と国民の多くがそう思っているからにほかなるまい。

 福田サン自身にいろんなものが足りないんじゃないだろうか。
 とりわけ、理念が欠けているように思えてならない。国家や政治、民主主義、平和、自由などに関してどんな理念を持っているのか、それが伝わってこないのだ。
 理念のないところに信念もありようがないではないか。したがって、そういう人の行動は頼りげのないものと映ってしまう。

 一国の首相ともなれば、僕たち庶民には想像もつかない苦労も悩みもあるだろう。しかし、その役割を引き受けた以上は逃げられない責任がある。
 世界の国々も福田サンの行動を見ているんだから、もう少しシャキッとして貰えないもんでしょうかね。

 国会運営が思うように行かないことに関して、小沢サンに向かって首相は言った。「かわいそうなくらい苦労しているんですよ」。
 あのね福田サン、国民もそうなんですけど…。

   


   

パリは言うべきことを言った  4月9日(水)晴れ

  

 4月7日(月)、北京オリンピックの聖火がパリを駆け抜けた。いや、駆け抜けるはずだった。
 エッフェル塔を出発した聖火は途中で4回も消され、バスに乗せられ、予定コースも短縮した上でシャルレティ競技場に着いたのだった。

 チベットの人々を支援する「国境なき記者団」の手によって、エッフェル塔やノートル=ダム聖堂に五輪の代わりに五つの手錠をあしらった横断幕が掲げられた。
 警官隊とチベット人、支援者たちによるデモ隊との小競り合いも報じられた。手にしたチベットの旗が警官によってもぎ取られてゆく、民族の歴史と誇りの結集が…。

 「自由なチベットを」と叫びながら道路に倒れた青年は口から血を流していた。フランスのTVでは、ひとりの警官がその血をハンカチで拭うシーンが一瞬流れたのがせめてもの救いを見た思いがする。

 オリンピックと政治は切り離して考えるべきだ、という意見がある。理想を言えばそうだろう。しかし、オリンピックはとうの昔に政治と無縁ではなくなっている。

 1916年の第6回ベルリン大会は、第一次世界大戦のため中止された。アドルフ・ヒトラーが大会組織委員総裁を務めたのは1936年、第11回ベルリン大会。日中戦争のまっただなかだった1940年には、第12回東京大会がキャンセルされた。ヒトラーのポーランド侵攻によって第二次世界大戦が始まった1944年のロンドン大会も流れた。

 第20回ミュンヘン大会('72年)では、会期中に選手村内のイスラエル選手宿舎に乱入した黒い九月のメンバーによって惹き起こされた痛ましいテロ事件もあった。
 第21回モントリオール大会('76年)ではアフリカ諸国が不参加を表明、第22回モスクワ大会('80年)では東西冷戦の煽りを受けて西側諸国が、第23回ロサンゼルス大会('84年)ではその報復としてソ連と東欧諸国がボイコットを繰り返した。

 このようにして、“平和の祭典”オリンピックはその理想に反して、それぞれの時代における各国の政治状況に左右され続けてきている。つくづく残念なことだと思う。

 「勝つことにではなく、参加することに意義がある」という言葉もオリンピックの理念として掲げられている。
 この名言に異を唱えるつもりはない。
 しかし、中国がどれほど覆い隠そうとしても、同国政府によるチベット圧政は世界中の人々の目に明らかとなっている。民主主義や自由、人権が踏みにじられている国で開かれるオリンピックに参加することに果たして意義があるのだろうか、という疑問を抱かざるを得ない。

 聖火がパリの街をよろけるように通り抜けて行った7日、パリ市庁舎に横断幕が掲げられた。そこには大文字でこう書かれていた。「パリは世界のどこでも人権を守る」"PARIS DEFEND LE DROIT DE L'HOMME PARTOUT DANS LE MONDE"。
 パリは言うべきことを言った、というのが僕の率直な感想だ。

 『人および市民の権利宣言』《Declaration des droits de l'homme et du citoyen》(1789年8月26日に採択)第4条にこう記されている。「自由は、他人を害しないすべてをなし得ることに存する」。

 民主主義国家はみずからの拠って立つ原則に従って行動すべきなのは言うまでもない。
 フランス革命期に打ち出されたこの原則に照らしてみれば、今回のチベット人たちや彼らの支援者たちによる行動も、それを不服とする中国人たちの抗議行動もともに容認されるべきだ。彼らはそれぞれに自由を行使しているのだから。ただ、「他人を害しない」という肝腎な一点が守られているかどうかが焦点ではあるけれど。

 女性歌手ミレイユ・マチューはルネ・クレマン監督映画『パリは燃えているか』(1966年、原作:ドミニク・ラピエール&ラリー・コリンズ)の主題歌を歌った。歌の原題は「怒れるパリ」"Paris en colere"(作詞:モーリス・ヴィダラン、作曲:モーリス・ジャール)。こう歌い出される。
 「誰かが自由に手出しをする時/パリは怒り出し/唸り声を上げ始める/あくる日は戦いだ」"Que l'on touche a la liberte / Et Paris se met en colere / Et Paris commence a gronder / Et le lendemain c'est la guerre"

 自由や正義が侵される時、怒りを表明するのもまた、民主主義の国に生きる者の権利であり、義務でもあると考える。パリの住人たちはそうした不愉快な事態に黙ってはいない。
 いやパリだけに限らず、フランス人一般に自由と人権への思いは強い。

 翻ってこの国のリーダーや政治家たちは、チベットで起きていることや北京オリンピックについて何も語ろうとしないのはどうしたわけだろう。言うべきことを言ったパリと比べていささか心許ない。

 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイトで、代表者のラクバ・ツォコさんが僕たち日本人に向けて次のようなメッセージを発している。
「ひとりの人間として、不正や暴虐に抗議の声をあげる精神と行動は、自由で平和な世界をつくるうえで大きな貢献となるのです」。

 自由と責任の名において僕たちがするべきことは何か、それぞれに考えたい。

   


   

フランス語の大海をたゆたいながら  4月7日(月)雨

  

 3月29日(土)、浅草の台東区民会館でシャンソン・フランセーズについて語る機会を得て、楽しく過ごすことができたことは書いた。駆け足ではあったけれど、中世から現代に至るシャンソンの歴史をたどってみた。
 こうしたチャンスをきっかけに、参加者の方々がさらにシャンソンに興味を持っていただければ僕としても嬉しい。

 ところで、ちょうどこの同じ日に立教大学フランス文学科の同窓会も予定されていた。Mさんという後輩の女性からお誘いのメールをいただいたけれど、浅草での仕事が先に決まっていたので丁重にお断りした。
 そのメールには他界されたり、退官される先生方のお名前もあった。一抹の寂しさが胸をよぎる。

 時は春、入学シーズンだ。夢と希望に胸を膨らませて校門をくぐった大学1年生の日々を思い出す。
 中世フランス文学、なかでも南仏吟遊詩人トゥルバドゥール研究の第一人者・新倉俊一先生が述べられた言葉はいまも忘れられない。

 入学直後、本格的な授業に入る前、フランス文学科にはどういう科目があるのかという説明を受ける。そのガイダンスの席上だった。クールな風貌の新倉先生がこうおっしゃった。
 「きみたちの目にはサルトルやカミュといった孤島が見えているかもしれない。しかし、それらの孤島にたどり着くためには、フランス語という大海を泳ぎ渡って行かなければならないのだ」。

 仏文科に入ったその日から原書をすらすら読めるんじゃないか、といった幻想を持つな、という厳しいお達しだった。これにはガツンと一発喰らわされた。途方に暮れる思いも味わった。と同時に、「よし、何が何でもフランス語を勉強してやるぞ」という気にもなったのだった。

 伝え聞くところによると、いまは原書講読をしないフランス文学科もあるそうだ。翻訳だけ読んでいればいいとか。何だそれは? フランス文学科の存在意義なんかないじゃないか。まさか、すべての大学でそういう事態になってはいないと思うけれども。

 教授や同級生たちの前で、テクスト(原文)を翻訳しながら論じてゆくエクスプリカシオン・ド・テクスト Explication de texte をするのが当たり前だった僕たちには信じられない。いま、銀座産経学園でシャンソンの原詞を読み解きながら講座を進めているけれど、大学時代に学んだエクスプリカシン・ド・テクストの手法がどれほど役に立っているか知れない。

 白水社の語学雑誌『ふらんす』4月号に、フランス語学習のために有益な情報がたくさん載っている。
 インターネットを利用した学習法の紹介もあって楽しい。僕たちが学生だった頃にはなかったこの便利な手段を使わない手はない。

 これまで僕は"FRANCE LINK"(http://www.francelink.com/introfla.html) というサイトを利用することが多かった。TV、ラジオ、新聞、映画の情報にアクセスできる。
 『ふらんす』最新号に掲載された、大久保政憲さんの記事「インターネットでフランス語学習」に、ポッドキャストによる情報収集法が出ていて参考になった。

 まずは以下のURLから"AlterInfo"(アルテランフォ)という、フランス生まれのフリーウェアをインストールする。http://www.geste.fr/alertinfo/home.html

"AlterInfo" トップページ

 すると、写真のようなトップページが現われる。新聞、TV、ラジオ各社のロゴマークが並んでいる。これら各社の情報がいながらにして手に入る、というわけ。

 スタートアップに登録してあるので、パソコンを起動する度にニュースのヘッドライン取得が始まる。興味のあるジャンルだけに絞って閲覧しようと思っても、瞬時にして圧倒的な量に達してしまう。当然のことながら、読まずに捨て置く記事も多い。済まない気分にはなるけれど仕方ない、一日中フランスのニュース収集をしてはいられないから。

 再び、いまは亡き新倉先生の「フランス語の大海」という言葉が思い起こされる。
 あまりの情報量の多さに途方に暮れながらも、フランス語の大海をたゆたいながらどうにか沈まないであちこち漂流している。
 そういえば、パリ市の紋章には"Fluctuat nec mergitur"「たゆたえども沈まず」というラテン語の句が刻まれていたっけ。
 まだまだ、勉強の日々は続く。

   


   

新聞の文字が大きくなった  4月4日(金)晴れ

  

 〔お詫び 急ぎの仕事が入ったため、前回の「ひとりごと」を休ませていただきました。謹んでお詫び申し上げます。〕

 3月31日から朝日新聞と読売新聞の文字が大きくなった。
 それに伴い、朝日は1行13字、読売は1行12字という文字数に変わった。
 読みやすさを考えたら、文字が大きいのは読者としては歓迎だ。拡大鏡を使わなければならないほど小さい文字はそれだけで読む気が失せてしまう。

 メールでも9ポイントくらいのサイズで送信してくる人がいるけれど、年齢のせいか正直言って読むのが少々辛い。僕自身はメール本文の文字サイズは14ポイントを使っている。これなら送られた相手も楽に読んで貰えるはずだ(と思う)。

 ただし、新聞文字が読みやすさを優先することによって違う面での変化も生じた。上に書いたように1行の文字数が減るわけだから、情報量も少なくならざるを得ない。
 読売新聞のコラム「編集手帳」の場合で言えば、77文字、約15%がカットされることになった。というわけで、これまで朝刊の下に横長にレイアウトされていたのが、左下部分に囲み記事みたいになっている。見た目にもスリムな印象を受ける。

 文字が大きくなったその日から読売新聞朝刊で、「おもしろ字典」という連載が始まった。
 4月1日には「簡略体の運命は…」という記事が掲載された。
 最新OSのWindows Vista が漢字の簡略体ではなく、伝統字体を採用していることに触れている。僕もVistaを使っているので、さっそく記事に例として出ていた「鰯」「辻」「葛」を調べてみた。なるほどこれらは伝統字体で、簡略体を選んで変換できないようになっている。以前は簡略体が幅を利かせていたものだったから大きな転換だ。

 パソコンで物を書く際には、ローマ字なり平仮名なりで入力して漢字に変換する。変換文字はいくつか候補が表示されるけれど、さしたる考えもなく最初に出てくる文字を選んでしまう人も多いと思われる。
 この機能、自分の記憶のなかから漢字を拾い出す手間が省けて便利ではある。なにしろ候補となる文字がズラッと並んでいるのだから。

 ところが、利便性の向上を喜んでばかりいられない面もある。というのも、憶えていたはずの漢字を思い出せない事態が時々起きるからだ。
 利便性の追求は大いに結構なことだけれど、気をつけていないと失うものもあるという例だろう。

 ところで、新聞やTVなどで「時」という漢字をあまり見かけないようだ。
 試みに僕のマシンで「時」を変換しようとしてローマ字で"toki" と入力すると、まず出てきたのは「土岐」。

 これ、変だよなぁ。だって、使用頻度から言えば「時」の方が高いでしょうに。土岐さんという苗字をお持ちの方には申し訳ないけれど。
 「変に換える」から「変換」なのか、というオヤジギャグのひとつもかましたくなろうというもの。

 レオ・フェレの有名なシャンソンに"Avec le temps"(アヴェック ル・タン)がある。邦題は「時の流れに」。これを「ときの流れに」と変換されると、別の曲みたいに見えてしまう。はっきり言って、賛成できない。
 パソコンの変換機能が登場する前にはあり得なかったことが、社会のあちこちで幅広く起きているという思いに改めてとらわれる。

 「時」という漢字の変換順位が低いのはなぜなんだろう。特に画数が多いとか、他の漢字と紛らわしいとかいうわけでもないのに。

 では、「時」という漢字を僕たちはいつ学校で習ったんだろうか。文部科学省のサイトを覗いてみた。「小学校学習指導要領 国語」のなかに、「学年別漢字配当表」というのがある。念のため、本欄末尾に掲げておこう。それを見ると「時」は2年生で学習する160字に含まれている。それを見ても、決して難しい字でないことが分ろうというもの。

 それなのに、変換順位が高くないのはなぜなんだろうか。ユーザーがしょっちゅう使っていればその順位が上がりそうなものなんだけれども、どうもそうなってくれない。
 使いたい漢字がすぐ出てこない、こうした変換機能がデファクトスタンダードとして世間に広まっているのを快く思わないのは僕だけではないと思うのだが…。

 どれほど愚痴を言っても、こいつを使わなければ文章を書けない時代になってしまったのだ。悔しいけれど仕方ない。何とか自分を宥めつつ使っていくしかあるまい。

 新聞の文字が大きくなったことは歓迎したい。簡略体をやめて伝統文字を採用したのもいい。
 ついでに、「時」という漢字が記事のなかに復活してくれることを望みたい。何より「とき」と書くよりもスペースの省略に役立つはずではないか。
 小学校2年生で習うこの漢字のどこにも悪い点はない。もし「時」という漢字を読めない大人がいるとしたら、そのこと自体が大きな問題だ。

[参考]
学年別漢字配当表 【】は筆者がこの文字を強調するためにつけた。
第二学年 引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔
汽記帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考行
高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自【時】室社弱首秋週
春書少場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多太体台地池
知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道読内南肉馬売買麦
半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛門夜野友用曜来里理話(160字)

   


   

浅草でシャンソンを語る  3月31日(月)雨のち晴れ

   

 一昨日、29日土曜日、地下鉄銀座線・東武線浅草駅にほど近い台東区民会館8階の第五会議室でシャンソンについて語ってきた。

 銀座産経学園でずっと続けている僕の講座の受講生である安井高明さんが骨を折ってくださって、開催に漕ぎつけることができた。安井さんは庄司淳さんのシャンソン教室も受講されていて、そこの生徒さんたちに声をかけて集めてくださったのだった。

 会場は100名は収容できそうな広い会議室。
 プロジェクターとスクリーンを区民会館事務所から借りた。集まった方々に動画を観て貰おうという趣向だ。

 会場に着く。すでに安井さんがいらしていた。CDをかけたり、映像を出したりする操作は前原克彦さんにお願いした。彼は銀座産経学園でも快くそうした役目を引き受けてくださっている。喋りながら自分で操作するよりもスムーズなのでとても助かる。

 午後2時スタート。
 浅草とパリのある地区とが似ている、と切り出した。「さてどこでしょう?」と参加者に問いかける。と、ひとりの男性が手を挙げた。答を聞くと「モンマルトル」。そのとおり。
 モンマルトルにはサクレクール寺院が聳え立ち、丘の麓にはピギャールという歓楽街がある。浅草には浅草寺があり、ちょいと行けば吉原が控えている。どちらの街にも聖と俗が混在している点が共通しているのだ。

 続いてクイズをしてみた。約50名ほどお集まりいただいた参加者の方たちのほとんどが初対面。みなさんとの距離を少しでも縮めたいとの願いから、クイズ出題を思いついたのだった。当日に来場されなかった皆様のために、ここに再録するのでお楽しみください。正解は本欄末尾にあります。

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ク   イ   ズ

01. パリのモンマルトルに<ラパン・アジル>というシャンソンを聴ける店があります。この店の看板には、ある動物がフライパンの上で跳ねている絵が描かれています。その動物は何でしょう?

A:ネズミ
B:ウサギ
C:タヌキ

02.映画『フレンチ・カンカン』は、モンマルトルにある踊りや歌を楽しめる店が舞台になっています。その店の名はでしょう?

A:ムーラン・ルージュ
B:カジノ・ド・パリ
C:リド

03.シャンソンの歌詞には、同じ歌詞が繰り返し歌われる部分があります。それは何と呼ぶのでしょうか?

A:クゥプレ
B:ロンド
C:ルフラン

04.甘く魅惑的な声で聴き手をうっとりさせる歌手を「魅惑のシャンソン歌手」と呼びます。次の歌手のうち、「魅惑のシャンソン歌手」は誰でしょう?

A:シャルル・トレネ
B:アンドレ・クラヴォー
C:サルヴァトーレ・アダモ

05.シャンソン・レアリスト(現実派シャンソン)といえばダミアが有名です。現実派シャンソンの歌詞の内容は?

A:恋の喜びを歌う曲
B:文学的な歌
C:人生の苦悩、社会の底辺に生きる人たちの生活、悲劇を歌った曲

06.1936年にフランスでは、有給休暇がとれるようになりました。庶民はダンスを踊れるレストランに家族や恋人と出かけ休日を楽しみました。そこで演奏されていた三拍子のヴァルス・ミュゼットやジャヴァに使われていた楽器は何でしょう?

A:ウクレレ
B:ヴァイオリン
C:アコーディオン

07.シャルル・トレネの代表作に「ラ・メール」という曲があります。「ラ・メール」とは、何という意味でしょう?

A:山
B:海
C:川

08.モーリス・シュヴァリエが歌って大ヒットしたシャンソンに、「ヴァランティーヌ」というユーモラスな曲があります。主人公の男性は、昔付き合っていた女性に再会します。が、あまりの変貌ぶりに驚いてしまうのです。その時、変わり果てた女性をある動物にたとえています。その動物は何でしょう?

A:カバ
B:ゾウ
C:ブタ

09.「愛の讃歌」「バラ色の人生」を歌ったのはエディット・ピアフです。ピアフとはある鳥の名前です。さて何でしょう?

A:ヒバリ
B:ウグイス
C:スズメ

10.日本にシャンソン・ブームを起こした女性歌手、イヴェット・ジローは初めから歌手を目指していたわけではありませんでした。どんな職業を経て歌い手になったのでしょうか?

A:パリにある高級婦人服のお針娘
B:タイピスト
C:看護婦

11.1950年代、サン=ジェルマン=デ=プレのキャバレに集う歌い手による「左岸派」のシャンソンが注目を浴びました。当時、“実存主義のミューズ”と呼ばれた女性歌手は誰でしょう? 何度も来日しています。

A:イヴェット・ジロー
B:コラ・ヴォケール
C:ジュリエット・グレコ

12.マルセル・カルネ監督の映画『夜の門』で、「枯葉」のメロディーを口ずさむシーンがあります。誰が口ずさんでいるのでしょう?

A:ジャン・ギャバン
B:イヴ・モンタン
C:シャルル・アズナヴール

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 この後、シャンソンの歴史を話した。中世のトゥルバドゥールや17世紀のマザリナード、フランス革命期のシャンソンなど、時代をたどって現代まで話を進めた。
 とはいえ、長い歴史を持つシャンソンだから、90分という時間内では1950年代くらいまでしか話すことができなかった。

 動画を利用できたので、参加者の方々の興味にお応えできたのではないかと自負している。
 映画『フレンチ・カンカン』で、フランソワーズ・アルヌールとジャンニ・エスポジーとがモンマルトルのシャンソン小屋をめぐるシーン。パタシュウがイヴェット・ギルベールに、アンドレ・クラヴォーがポール・デルメに、エディット・ピアフがウジェーヌ・ビュッフェに扮しているのが興味深い。
 ちょうど30年前の3月に事故死した歌手クロード・フランソワがリュシエンヌ・ボワイエと語り合い、一緒に「聞かせてよ愛の言葉を」を歌うTV番組も観た。
 さらに、パトリック・ブリュエルが2002年に<オランピア>で行なったコンサートのDVD。同劇場に集まった観客たちの年齢層はまちまちだった。老いも若きも1930年代から40年代のシャンソンに酔いしれ、唱和し、身体を動かしている姿が感動を呼ぶ。

 庄司淳さんのクラスではこれから、ジルベール・ベコーの「バラはあこがれ」を練習すると聞いた。そこで、ベコーのオランピア・ライヴの映像も観ていただくことにした。
 さらに原譜を配布して、ルフランの"L'importan c'est la rose, L'important, c'est la rose L'important, c'eat la rose Crois-moi" の部分をみんなで歌ってみましょう、と誘う。嬉しいことに、みなさん大きな声でフランス語歌詞を歌ってくださった。「フランス語は難しい」という先入観を捨てていただければそれでいい。

 あっと言う間に楽しい時間は過ぎた。参加者のみなさんはよりシャンソンに興味を感じてくださったのではないだろうか。そんな手応えが伝わってくるような気分だった。
 みんなで一緒にシャンソンの楽しさを味わった、その余韻を抱えたまま、区民会館そばの中華料理店での打上げに顔を出した。
 初めて言葉を交わす方もいれば、弁護士のKさんのようにかつて三越文化センターでの僕の講座を受けてくださっていた方もいらした。

 これからもシャンソンが取り結ぶ縁を大切にしていきたいと思う。こうした機会を与えてくださった安井さんに心から感謝したい。

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クイズの正解です。

01. B
02. A
03. C
04. B
05. C
06. C
07. B
08. A
09. C
10. B
11. C
12. B

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エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜
配給:ムービーアイ 今秋、有楽座ほか全国ロードショー!

エディット・ピアフを彷彿とせるマリオン・コティヤール

ムービーアイ エンタテインメント(株) 映画配給部
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目1-2 ダヴィンチ銀座ビル4F 
TEL:03-5537-0151 FAX:03-5537-0853
http://www.movie-eye.com
http://www.piaf.jp

(C)2007 LEGENDE-TF1 INTERNATIONAL-TF1 FILMS PRODUCTION
OKKO PRODUCTION s.r.o.- SONGBIRD PICTURES LIMITED

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『シャルル・アズナヴール/ベスト・ソングス&ライヴ』
      (東芝EMI TOCP-70188/89 2枚組)

CD1:ベスト・オブ・スタジオ
〈曲目〉1.コメディアン 2.希望に満ちて 3.想い出をみつめて 4.遠い想い出 5.昔気質の恋 6.フォー・ミー、フォルミダブル 7.ラ・マンマ 8.悲しみのヴェニス 9.ラ・ボエーム 10.これからは 11.人々の言うように 12.誰 13.想い出の瞳 14.時 15.私は旅する 16.生ける屍〜『言論犯罪』〜 17.きみが僕を愛する時 18.ユー・メイク・ミー・ソー・ヤング(フランク・シナトラとのデュエット曲) 19.少年がいた 20.世界の果てに

CD2: ベスト・オブ・ライヴ・オランピア
〈曲目〉1.それがわかれば 2.八月のパリ 3.すべては終わり 4.青春という宝〜帰り来ぬ青春 5.僕は戻ってくる 6.愚かな恋 7.燃えつきて 8.僕の肩でお泣き 9.ジャム・セッションのために 10.愛のあとで 11.生命をかけて 12.青春の思い出 13.二つのギター 14.戦いの前に 15.生きる喜び 16.声のない恋 17.きみの思い出 18.灯りを消して 19.のらくらもの 20.アヴェ・マリア

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お  知  ら  せ

詳細は10月25日付本欄をご参照願います。

イングリッド・ベタンクールかけポスター

 国際イングリッド・ベタンクール連盟委員会が全世界的に幅広い支援を呼びかけています。詳細はサイトhttp://www.educweb.org/Ingrid/をご覧下さい。日本語でも読むことができます。

 サイトhttp://www.ingridbetancourt-idf.com/otages/にも注目して下さい。画面右にある"Telechargement"(テレシャルジュマン=ダウンロード)から、イングリッドのポスターをダウンロードできるようになっています。この「お知らせ」欄に掲げた写真と同じものです。

 同じページを下方へスクロールしていくと、左側に写真が縦に並べられています。いろいろなドキュメントを見ることができます。
 上から5番目に"Allumez une bougie"「ローソクを灯して」という項目があります。写真をクリックすると、多くのローソクが並ぶ画面になります。一番下にあるローソクの絵をクリックしてみましょう。その絵が動いてすでに光を放っている列に向かって進んで行きます。
 これで、ヴァーチャルなローソクを1本灯したことになるのです。

イングリッド・ベタンクール解放を訴えるシャンソンたち

 囚われの身となっているイングリッドやその他の人々の解放を歌うことを通して呼びかけているアーティストたちがいます。

 ☆ルノー Renaud 《Dans la jungle》「ジャングルのなかで」(EMI 09463 494690 2)
サイトhttp://www.educweb.org/Ingrid/ からインストゥルメンタル・ヴァージョンをダウンロードできます。

 ☆セシレム Cecilem ピアノを弾きながら歌う女性歌手セシレムが"Chanson pour Ingrid" を歌っています。Emexのサイトからmp3形式でダウンロードできます。

http://emex-music.com/cecilem/

http://www.emex-music.com

歌を聴きながら、イングリッドと人質の方々を支援しましょう。


♪Petites annonces♪

☆『ディア・ピアフ ベスト・オブ・エディット・ピアフ』
(東芝EMI TOCP-67296)

ピアフを敬愛するアーティストたちがセレクトした11曲を含む珠玉のベスト・アルバム。
「恋人が一輪の花をくれた」石井好子 撰/「バラ色の人生」椎名林檎 撰/「パリの空の下」小野リサ 撰/「いつかの二人」クレモンティーヌ 撰/「水に流して」中島みゆき 撰 他全20曲、【解説】大野修平。


♪Petites annonces♪
おすすめシャンソン・フランセーズCD&DVD
(対訳または解説:大野修平)
   
EMIミュージック・ジャパンファミリークラブ
BMGファンハウス
『シャンソン名曲大全集』
Le florilege de la Chanson Francaise
(10381 CD10枚組)
☆ご購入を希望の方は、
 
こちらをクリック。
『魅惑のシャンソン名曲集
 〜Vive la Chanson!〜』
TheCDClub
(EMI ODEON FFCP-41710〜1 CD2枚組)
パトリック・ブリュエル
『アントゥル=ドゥ』
(BVCM 34015〜16 CD2枚組)
☆このCDについての詳細は当サイト「ディスクガイド」をご参照下さい。
ユニバーサル・ミュージック・ジャパン
オーマガトキ

ジャック・ブレル
『ベスト・オブ・ジャック・ブレル Brel Infiniment Jacques Brel』
(UICY-9450)

アンリ・サルヴァドール
『ベスト・オブ・アンリ・サルヴァドール』
Henri Salvador Henri Salvador
(CD2枚組 UICY-1258/9)

『アコーデオン』
(DVD OMBX-1004)
[監督]ピエール・バルー
[出演]リシャール・ガリアーノ/タラフ・ドゥ・ハイドゥークス/クロポルト/ダニエル・ミル/モーリス・ヴァンデール/シブーカ/クロード・ヌガロ/coba/続木力/深川和美/まや他